海外送金における贈与税について
海外への送金は多くの人々にとって身近なやり取りとなってきていますが、このような送金が税制上の影響を受けることもあります。特に、贈与税の発生に関して、理解が難しいことがあるかと思いますので、今回こちらの記事では、海外送金における贈与税について解説します。
贈与税とは
贈与税は、財産を受け取った人(受け取り手)が支払う税金となります。国内の財産を贈られた際、受け取り手の年齢や国籍にかかわらず、この税金が適用されます。ここで言う財産とは、もちろん送金された資金も該当します。さらに、外国の財産を贈られても、受け取り手が日本に居住している場合は、贈与税が課せられます。
税発生の有無は100万円がキーポイント
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ゆうちょ銀行や三井住友銀行などの金融機関は、100万円以上の海外送金について税務署に報告する義務があります。このため、100万円がキーポイントとなっています。
報告義務は、特定の法令に基づいています。この法令に従って、金融機関は税務署に特定の書類を提出する必要があります。この書類には、送金者と受取人の詳細な情報が含まれているため、税務署は送金の詳細を知ることができます。そして、この法令には、100万円以上の送金が報告の対象となると明記されています。このため、100万円以上の送金は税務署に報告されることになります。
しかし、100万円未満で分割して送金すると、税務署には気づかれないのでしょうか。答えは「必ずしも気づかれないわけではない」です。100万円未満の送金は特定の書類の提出対象外ですが、税務署は調査の権限を持っています。したがって、金融機関が報告しないからといって、必ずしも気づかれないわけではありません。正しい手続きを行うことが重要です。
税務署が気づいた場合、必ずしも税金が発生するわけではありません。どのようなケースで税金が発生するのか、次のセクションで詳しく見ていきましょう。
参考資料:「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令」
海外送金時の贈与税発生について
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贈与税はどのような場合に発生しうるのか、どのくらいの額を送金すれば発生する可能性があるのか、そのような疑問を、日本から海外への送金、海外から日本への送金の場合に分けて解説いたします。
日本から海外への送金
日本から海外への送金に関して、贈与税が発生する可能性は以下の2つのケースで考えられます。
1. 自分の資金を日本から海外の自分の口座に送金する場合
このケースでは、100万円を超えても税金は発生しません。ただし、その資金に関する税金の申告が漏れている場合、追加の税金が発生する可能性があります。
2. 自分の資金を日本から海外の他人の口座に送金する場合
例えば、子供の留学費用や海外に住む親族への生活費として送金する場合、これは「扶養対象」として非課税となります。送金国により異なる場合があるため、送金先の国の法律を確認する方が良いでしょう。
例えば、アメリカの贈与税は、贈与者(日本に住む家族)が納税の対象です。しかし、贈与者が日本の口座からアメリカの口座にお金を送金して贈与する場合、そのお金はアメリカ外の財産とみなされ、課税の対象外となります。
問題となるのは「扶養対象」外の送金です。例えば、海外に住む子供に家を購入するための資金を「贈与」として送金する場合、これは「贈与税」の対象となります。少し複雑なので、悩んだ場合は専門家へ相談することも検討しましょう。
海外から日本への送金
次に、海外から日本への送金に関して、法的な問題は以下の2つのケースで考えられます。
1. 自分の資金を海外から日本の自分の口座に送金する場合
このケースでは、送金者が「日本の居住者かどうか」が重要となります。1年以上日本に居住している場合、「居住者」とみなされ、それ以外の場合は「非居住者」とみなされます。そのため、課税対象とはならない場合が多いです。
2. 自分の資金を海外から日本の他人の口座に送金する場合
例えば、海外で働いている人が日本にいる家族に生活費や教育費として送金する場合、1年以上の海外滞在を予定している場合、非居住者として税金は発生しません。しかし、送金された資金が預金や投資などに使われる場合、贈与税が発生する可能性があります。
贈与税に関わる主要なポイント
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- 送金目的の明確化:送金の目的は、その税制上の影響を大きく左右します。無償の送金、例えば家族や友人への贈与は、贈与税の対象になりやすいです。一方、商取引やサービス料としての送金は、贈与税の範囲外となることが多いです。
- 出発国の税規定:送金元となる国の税法は、贈与税の適用範囲を規定しています。例えば、日本の居住者が海外の友人や家族に送金する場合、その税制上の影響は日本の税法に基づきます。
- 到着国の税規定:送金を受け取る国の税法も同様に重要です。送金受取人に対する税金が課されることもあり、その税制は贈与税とは異なる形態をとることがあります。
- 免税額の理解:贈与税の対象となる金額には、多くの国で下限が設定されています。その下限を超えた送金のみが課税対象となるため、この金額を把握しておくことが重要です。
- 関係性の影響:送金の関係者間の関係性も、税制上の影響を持つことがあります。親子間の送金と友人間の送金では、免税額や税率が異なる場合があります。
海外送金を行う際は送金金額や送金目的を明確にしましょう!
海外送金に対する贈与税の発生は、送金の目的、状況、そして送金元と送金先の国の税法によって変わります。特に送金額が大きい場合は、税金に関する問題が浮上するのではないかと心配になりますよね。そういった時は自己完結せず、悩んだ時は専門家に相談することも一つの選択肢です。海外送金のおけるトラブルを回避するために、送金目的や金額について事前に整理し、本当に必要な送金を行えるよう、計画的な送金を心がけましょう。